ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
同居生活の終わりが見えて、最近落ち込んでいた。
そんな私に由香は、簡単に言ってくれる。
「ずっとここに住みたいと言っちゃえば?」
「そんなこと、言えるわけないじゃない!」
由香が言った通り、もう少し同居生活を続けたいというのが希望。
でも私には、そんなこと言える資格がない。
彼女ではないし、友達でもない。
久遠さんとの関係性を聞かれたら、“同じ会社の他部署の人間”と答えるしかない。
とても希薄な関係で、三日後はソレに戻ってしまうのだ。
初めは同居が嫌だったはずなのに、こんな気持ちになるなんて……
予想外で困る。
「はぁ……」
「27回目」
「数えるな!」