ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
「田丸さん、どこ行くの?」
そう聞かれたので、
備品保管庫の在庫チェックを命じられたと説明する。
言いながら、嫌だなと思ってしまう。
保管庫に入っている大量の備品を、数えて紙に書いていくだけの単純作業。
地下の淋しい場所に一人切りで、
2時間はやらなければいけない。
私が嫌そうにしているのに気付いた三国主任は、
「あ〜あれは面倒臭いよね。
一人じゃ可哀相だから手伝うよ」
そう言ってくれた。
曇り空みたいな顔が、パッと晴れる。
三国主任の優しさに感激してしまった。
式は上げていないけど、最近入籍して新婚ほやほやの三国主任。
新妻の手料理が美味し過ぎるのか、体脂肪率が更に上昇中。
スーツの前ボタンが今にも弾け飛びそうだし、
つんと突いたら、コロコロ転がりそうだなんて……
こっそり思っていて、ごめんなさい。