ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
「なっ……」
何て言い難いことを、ハッキリ言うのか……。
私の気持ちがバレバレなのは、
とっくに分かっているけど、
告白したわけじゃない。
それなのに本人に、事実として言われるなんて……。
顔が瞬時に真っ赤に染まり、
恥ずかしさに涙目になってしまう。
羞恥の極地に立たされる私を、
久遠さんだけは一切照れることなく、じっと見ていた。
恥ずかしさに悔しさも入り混じり、半ば自暴自棄になる。
好きな人に良く見られたいという乙女心は吹き飛んで、
涙目で感情をぶちまけた。
「“勝手に惚れた”ですって!?
自分に非がないとでも思っているんですか?
久遠さんの見た目は、私の好みのど真ん中なんです!
中身が変だから、好きになることはないと思ったのに、
ドキドキさせるような真似ばっかりするから、惚れちゃったじゃないですか!
最初は強制同居にムカついたけど、
今じゃ、同居を延ばせないかと悩むほどに、好きにさせられたんですよ?
全て久遠さんが悪い!
作戦や演技じゃなくても、私をドキドキさせる久遠さんが悪いんです!
押し倒したり、助けてくれたり、キスしたり……
何なのよ、もうっ!!」