ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
イケメンが、二人掛けのソファーに寝そべり、
“ミカコ”とじゃれていた。
「よせって、くすぐったい。
ハハッ ミカコは可愛いなぁ」
彼が撫でくり回している相手は……
ハムスターだった。
コロコロと太った、白と茶色の毛をしたハムスター。
彼にほお擦りされて、嫌そうに暴れていた。
この人……変。
やっぱり変。
迷惑そうなハムスターに、
チュッチュしている彼を呆然と見ながら、
警戒心が、解けつつあるのを自覚した。
そろそろと近くに寄り、話しかけてみる。
「あの、ハムスター飼っているのですね」
無難な話しかけ方だと思ったのに、なぜかギラリと睨まれた。
「ハムスターと種族名で呼ぶな。
“ミカコさん”と呼べ。
お前が一番の新参者なんだから、
きちんと挨拶しろ」
彼がソファーにムクリと起き上がる。
私の腕を掴み強く引っ張るから、
彼の股の間に、スッポリと収まる形になってしまった。