ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
私が全くの無抵抗になると、腰に回されていた彼の左手が動き出す。
ミディアムドレスの背中のファスナーを下ろされ、ブラジャーのホックを外された。
大きな手の平が背中の素肌に当てられ、
弧を描いてゆっくり動いていた。
かつて味わったことのない甘美な刺激に、身悶えた。
息が上がり、唇の隙間から喘ぐように酸素を吸い込んだ。
深くて淫らな大人のキスは数分続き、
やがて立っていることもできなくなる。
膝がカクカク震え出し、崩れ落ちそうになったところを、
両腕で強く抱きしめられ、支えて貰った。
同時にやっと唇が解放される。
自由になっても、ひとカケラの言葉さえ出てこない。
呼吸するだけで精一杯だった。
仰ぎ見ると真上に、濡れた彼の唇が。
まだ色気を消していないその唇が、こう言った。
「これが、キスだ」と。