ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
変な人だけど、やっぱり見た目はイケメン。
密着する体に意識が集中してしまい、顔が赤くなるのを止められなかった。
一方彼は、そんなのどうでもいいといった態度で、
私の鼻先にミカコさんを、ズイッと近づけてくる。
「ほら、挨拶しろ」
「え……えっと、ミカコさん、
ふつつか者ですが宜しくお願いします……」
「よし」
挨拶を終えた途端、私の体はポイッと床に投げ捨てられた。
彼はミカコさんをソファーに下ろし、
ひまわりの種を嬉々として食べさせている。
それを見て、私のお腹がグゥッと鳴った。
騒動に巻き込まれたせいで、
私も夕食を、まだ食べていないのだけど……。
三国主任に「久遠なら大丈夫」
と言われた意味が分かった。
この人は、女性に関心がないみたい。
彼が愛情を注ぐ相手は、
ハムスターとビール研究だけ。
そんな気がした。
――――……