ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


「シャワー空いたぞ。
入って来い」




そう言われて振り返ると、藍色のバスローブを身に纏う久遠さんが立っていた。



その姿に、顔が熱くなる。



バスローブを着た洋画俳優を見ても、興奮したりしないのに、

バスローブさえ華麗に着こなす久遠さんの姿には、鼻血が出そうになった。



抜群のプロポーションと、引き締まった筋肉質の体。


緩い前合わせから大胸筋の盛り上がりがチラ見えして、

男の色気がだだ漏れ状態になっている。



さっきまでの、裸バスローブの私なんかより、

久遠さんの方が遥かに色気で勝っていた。



ごくりと唾を飲み込む。



真後ろには、キングサイズのベッドが誘っていた。



ああ……濡れた前髪を掻き上げないで……。


フェロモンにやられて、おかしな気分になってしまいそう……。




「夏美? どうした?」




そう言われて、ハッと我に返る。



私、今、いやらしいこと考えていた……?




「シャワーですね!
い、今すぐ入ってきます!」




そうごまかして、慌ててバスルームに駆け込んだ。



< 331 / 453 >

この作品をシェア

pagetop