ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
「シャワー空いたぞ。
入って来い」
そう言われて振り返ると、藍色のバスローブを身に纏う久遠さんが立っていた。
その姿に、顔が熱くなる。
バスローブを着た洋画俳優を見ても、興奮したりしないのに、
バスローブさえ華麗に着こなす久遠さんの姿には、鼻血が出そうになった。
抜群のプロポーションと、引き締まった筋肉質の体。
緩い前合わせから大胸筋の盛り上がりがチラ見えして、
男の色気がだだ漏れ状態になっている。
さっきまでの、裸バスローブの私なんかより、
久遠さんの方が遥かに色気で勝っていた。
ごくりと唾を飲み込む。
真後ろには、キングサイズのベッドが誘っていた。
ああ……濡れた前髪を掻き上げないで……。
フェロモンにやられて、おかしな気分になってしまいそう……。
「夏美? どうした?」
そう言われて、ハッと我に返る。
私、今、いやらしいこと考えていた……?
「シャワーですね!
い、今すぐ入ってきます!」
そうごまかして、慌ててバスルームに駆け込んだ。