ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


起きている時とは違う無防備な寝顔に、胸がキュンと音を立てた。



この部屋には私達ふたり切り。

それは分かっているのに、ついキョロキョロと周囲を見回してしまう。



誰も見ていないことを確かめた後は……

「大好きです」

そう囁いて、頬にそっと唇を当ててみた。



その途端、視界が反転して、
気付けばソファーに仰向けに倒されていた。



ぐっすり寝ていたはずの久遠さんが、目を開けて私に覆い被さっていた。



驚きと、キスを見つかってしまった恥ずかしさに、

心拍数が急上昇してしまう。



そんな私に久遠さんは、ニヤリと笑って言った。




「キスするなら、唇にしろ」




言い終わると同時に、唇が重なった。


久遠さんと唇を重ねるのは、これが4度目。



すぐに深くなるキスは、ほんのりビール味。



久遠さんがどういう気持ちでキスしてくるのか分からないが、

私の心は今、確かに喜んでいた。



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