ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


心地好い大人のキスに酔いしれている途中で、急に唇が離れてしまう。




「久遠さん? ……わっ!」




体がふわりと浮いて、横抱きに抱え上げられた。



スタスタと歩く彼の行き先は、
ベッドルーム。



キングサイズのベッドがあるピンクの部屋に入り、

私を抱えたまま、彼は器用にドアを閉めた。



ベッドルームは二つある。


私をベッドに下ろした後は、当然出て行くものと思っていたら……

隣に久遠さんが寝そべった。



驚いて目を丸くする私。



これはもしや……そういうことなの?




「久遠さん、あの……酔っていますか?」




リビングのビール瓶が空になっていたことを思い出し、

念のために確認してみた。




「この俺が、ビール一本で酔うわけないだろ」




そう言われるだろうと予想できる答えが返ってきた。



ベッドの中で、久遠さんは私を抱き寄せる。



色香を隠そうとしない瞳が、至近距離で私を真っすぐに見つめていた。



< 334 / 453 >

この作品をシェア

pagetop