ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
心地好い大人のキスに酔いしれている途中で、急に唇が離れてしまう。
「久遠さん? ……わっ!」
体がふわりと浮いて、横抱きに抱え上げられた。
スタスタと歩く彼の行き先は、
ベッドルーム。
キングサイズのベッドがあるピンクの部屋に入り、
私を抱えたまま、彼は器用にドアを閉めた。
ベッドルームは二つある。
私をベッドに下ろした後は、当然出て行くものと思っていたら……
隣に久遠さんが寝そべった。
驚いて目を丸くする私。
これはもしや……そういうことなの?
「久遠さん、あの……酔っていますか?」
リビングのビール瓶が空になっていたことを思い出し、
念のために確認してみた。
「この俺が、ビール一本で酔うわけないだろ」
そう言われるだろうと予想できる答えが返ってきた。
ベッドの中で、久遠さんは私を抱き寄せる。
色香を隠そうとしない瞳が、至近距離で私を真っすぐに見つめていた。