ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


お局様の言葉に納得して、30分休憩を取らせてもらうことにした。



バッグを持ち庶務課を出て、一階へ下りた。



社員食堂の隣には、小さな休憩スペースがある。



オープンスペースの壁側には、ドリンクの自動販売機がズラリと並び、

丸テーブルが5つとパイプ椅子があるだけの空間だ。



15時になったばかりの休憩所は無人だった。



最近残業規制が厳しくなり、早く帰ろう運動が社内に周知されている。



サービス残業は嫌だし、残業して怒られるのも納得いかないので、

今頃はラストスパートと言うべく、みな一生懸命仕事中なのだろう。



自動販売機でカップのミルクティを買い、丸テーブルに向かった。



バッグから出したのは、ブライダル情報誌。



式も披露宴も入籍も、何もかも「お前の好きにしろ」と久遠さんに言われている。



ブライダル情報誌には私の好み100%で、付箋やペンで印が付けられていた。



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