ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
◇◇
いつもより精神的な疲労を溜めて、
20時過ぎに、やっと久遠さんのマンションに帰ってきた。
私の仕事は17時に終わっていたが、今まで帰れなかった。
久遠さんに、
「一人で先に帰ったらどうなるか、分かってんな?」
そう脅されていたせいで。
待たされた間の残業代は、一体誰に請求すればいいのだろう?
本当に、腹立たしい限りだ。
買物袋を抱えて、玄関を上がった。
途中で寄った食料品店で、
数日分の食料を、どっさり買い込んできた。
今夜は、きちんとした食事がしたかった。
昨日の夕食が、カップ麺だったから。
冷蔵庫を勝手に覗いたが、
缶ビールがギッシリ詰まっているだけで、何もなかった。
彼はミカコさんには、たんまり餌を与えているのに、
私には食事を与えてくれない。
まともな食事がしたければ、
自分で材料を買って、調理するしかないのだ。