ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
チカチカと、今にも切れそうな蛍光灯は、すぐに見つかった。
その真下に堂浦さんが脚立を置いて、
「さぁどうぞ」と、私に手を向けていた。
上るのは君だと、言いたいらしい。
これは庶務課の仕事だから、
確かに彼が上がる必要はない。
でも、ここまでついて来たなら、
普通は「俺がやる」と、言うべきじゃないの?
ニッコリ笑顔の堂浦さんに溜息をついて、
ローヒールのパンプスを脱いだ。
脚立を上り、一番上の踏み段に立つ。
蛍光灯までは、私の身長でギリギリ届く高さ。
少し背伸びをして、切れかけの蛍光灯を外していると、
堂浦さんが話し掛けてきた。
「ねぇ夏美ちゃん、久遠と同棲してみてどう?」
「同棲じゃありません。
同居です。
“どう?”とは、具体的に何を聞きたいのですか?」
一本を外し終え、それを堂浦さんに渡し、
その隣の二本目に取り掛かった。
堂浦さんが言う。
「具体的に聞いちゃっていいの?
久遠と、どんなエッチしてんの?っていう質問。
夏美ちゃんて真面目さんだから、
ハッキリ聞くのを遠慮したんだけど」