ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
 


ちょうど外し終えた二本目の蛍光灯が、手から離れて落下する。




「おわっ!危ないじゃん!
落とさないでよ〜」




堂浦さんがキャッチしてくれたので、割れずに済んだが、


「ありがとう」なんて、言う気はサラサラない。



脚立の上で彼を見下ろし、
声を荒げた。




「変な想像しないで下さい!

久遠さんとそんな……そんなこと、していません!

付き合っていないのに、するわけないでしょ!」



「ふーん。久遠の奴、手を出さないのか。

変なの。

付き合っていなくても、普通はエッチするよ?」



「しませんっ!!」




このチャラ男を、セクハラで訴えてもいいだろうか?



あの会議室で、同居相手を選べと言われた時に、

堂浦さんを選ばなくて、本当に良かった。



交際していない男女の性行為が普通なんて……

かなりの危険思想の持ち主だ。




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