ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
◇◇◇
翌日――
今日は休日。会社はお休み。
トーストと珈琲で、朝食を簡単に済ませると、
出かける仕度を始めた。
肩までのストレートの髪に、ヘアアイロンでウェーブを付ける。
メイクは、平日より華やかに。
お気に入りのワンピースを着て、
この夏買ったばかりのバッグを持つ。
久遠さんは、私より遅く起きてきた。
あくびをしながら、ミカコさんに「おはよう」と話しかけていた。
その様子を横目でチラリ見て、
何も言わずに玄関に向かった。
昨日の喧嘩を、私はまだ引きずっていた。
『これだから女は……』
『レディースデイに喜ぶ女は何なんだ?』
昨日の彼の発言を思い出すと、
一日経ってもムカムカ腹が立つ。
昨日の喧嘩で、彼の女性への偏見を垣間見た気がした。
過去にどんな女性と知り合ってきたのか知らないが、
女を馬鹿にされた気分で、すこぶる面白くない。