ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
こんな気分の時に一日一緒にいるなんて、真っ平だ。
それなら一人で街に出て、
ショッピングや映画を楽しもうと考えていた。
玄関でお出かけ用の、可愛いパンプスを履いていると、
ミカコさんを抱いた久遠さんが、
慌てて駆け寄ってきた。
「おい、どこ行く気だ?
一人で勝手に出歩くのは禁止だと言っただろう」
言った。
このムカつくイケメンは、確かにそう言っていた。
でも、それについて契約書を交わしたわけじゃない。
それを守るか守らないかは、
私のご機嫌しだいなのよ!
久遠さんを無視して、ドアノブに手をかける。
すると大きな手が伸びてきて、
私の手に被さった。
これでは、ドアを開けられない。
「離して!私はイライラしてるんだから!
その原因は、もちろん久遠さんよ!
イライラ解消に遊びに行こうとしてるのに、
それを止める権利は、アナタにはない!」