ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
「マジ睨まれたんだけど。
カワイくない?」
「カワイイ〜
怒ったイケメン、超カワイイ〜」
彼女達にかかれば、怒った彼は、
“カワイイ”というカテゴリーに分類されてしまうらしい。
彼女達の言う“カワイイ”の定義が分からないが、
郵便ポストを見ても電柱を見ても、「カワイイ」と言ってそうな気がした。
電車に20分揺られて、目的地に着いた。
商業ビルが建ち並ぶ繁華街は、
休日ともなれば、酷い混みようだ。
駅から出て、チラリ振り返ると、
人波の中に、長身のハムサムフェイスを確認できた。
ちゃんと付いて来ていると分かり、ほくそ笑む。
女子高生の攻撃で、逃げ帰ってしまっては困る。
彼が本当に大変な思いをするのは、これからなのだから。