ぎゅっと抱きしめて~会議室から始まる恋~
気付いてしまった恋心
◇◇◇
同居生活に入り、2週間が過ぎていた。
今日も久遠さんと一緒に出社して、いつも通りの仕事をこなし、
昼休みになる。
庶務課で仲良しの同僚、由香と一緒に社員食堂に行った。
社食へ行くことは、許されていた。
久遠さんとお出かけしたあの日以降、
彼は少しだけ、私への監視を緩めてくれるようになった。
社員食堂、トイレ、庶務課内での行動は自由。
ただし、他部署の人間と必要以上の会話をしないこと。
そんな条件をつけられてだが。
久遠さんも何とか私を信じる方向へ、気持ちを向けようと努力しているみたい。
そういう訳で、のんびり昼食を楽しむことができる。
今日の日替わり定食は、冷やしたぬきうどんと、おにぎりのセット。
うどんをツルツルすすっていると、由香が愛用の手帳を取り出す。
彼女の趣味、社内のイケメン達の情報を集めた、ファイリング手帳だ。
「久遠さんの情報、大分集まったよ〜」
由香はそう言って、ニマニマしながら読み上げた。