ユキの果て
「ユキと付き合いたいとか、そんなことは思ってないよ?
でも、多分あたしはずっとユキが好きなんだ」
忘れようとして、忘れられる人じゃなかった。
代わりになる人なんて、いなかった。
ユキと別れたことに後悔なんてないけど、それでもいい思い出だったと笑えるようなものではない。
雪が降って、積もって、スノードロップも咲いて。
なにも変わっていなかった自分をひしひしと感じる毎日。
だからきっと、もうどこにも行けないんだと思っていた。
「それで?
結晶はもう恋をしないとか言うの?」
「できないと、思う」
「違うでしょ!」
大きな声を出した委員長にあたしは目を丸くする。
「一生に恋は1度じゃないよ。
辛いことがあっても、誰かを大切にできるし、好きになることだってできるはずだよ」
ひやりと冷たい風に震える。
「求めることは、止めないで」
ぽろり。
一粒。二粒。
落ちていく、涙。
ユキと別れた時でさえ泣かなかったのになぁ、と少しだけ笑った。