ユキの果て
「委員長。
あのね、聞いてくれる?」
「うん、いいよ」
「あたし、ユキが好きだった」
「うん」
「でも今は、────ヒカリが好き」
馬鹿だね、あたし。
自分で自分を誤魔化して、傷ついて、傷つけて。
ヒカリ……ヒカリ。
あなたは今、なにをしているのかな。
好きになっていたなんて思わなかったのに。
気づくと同時に壊れた涙腺。
恋はこんなにも切なくて、苦しくて、愛おしい。
ヒカリを好きだと叫ぶ自分の心を抱き締めたくなる。
「これからどうするの?」
「もう、前みたいな関係には戻れないと思う」
あたしは彼を好きだけど、傷つけた。
その事実は消えない。
「でもね、ヒカリとの約束があるから」
「約束?」
ぐいっと涙を拭う。
あたしはもう、泣いてはいられない。
「勝負はバレンタインだよね」
「今年のバレンタインは土曜日だけど大丈夫?」
「あ」
そっか。
曜日は気にしてなかったけど駄目じゃん。
「じゃあその前日にする」
ふと、窓から外を見る。
ずっと降っていた雪は……止んでいた。