ユキの果て
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ガタガタ、と一斉に立ち上がる。
ざわつき始める月曜日の放課後。
金曜日とは比べものにもならないけど、開放感が漂っている。
「結晶」
呼ばれた自分の名前に顔を上げると、白雪 ヒカリ──名前だけは女の子みたいに可愛いクラスメートがいた。
「なに?」
「帰るぞ」
口は悪いし、ズバズバ切りこんできて手厳しく、愛想もない。
人とあまりつるまないヒカリだけど、あたしとはなんでか行動を共にすることが多い。
いつからだったか、下校も一緒だし。
いつも通り頷こうとして、聞こえた名前に息を詰める。
「あ、ユキ。
今日はもう帰るの?」
「うん、待ち合わせしてて」
「わかった、彼女だろっ?」
「あはは。また明日」
楽しめよー、なんて手をぶんぶんと振る男子の声が頭に響く。
ユキと一緒になりたかった去年は違うクラスで、離れたかった今年は同じクラス。
……神様は、意地悪だ。
どう頑張ってもユキの声は聞こえてくるし、話さなきゃいけない時もある。
避けられない、逃げられない。
今さらこんな繋がりなんて欲しくなかったのに。