ユキの果て




***



ガタガタ、と一斉に立ち上がる。

ざわつき始める月曜日の放課後。

金曜日とは比べものにもならないけど、開放感が漂っている。



「結晶」



呼ばれた自分の名前に顔を上げると、白雪 ヒカリ──名前だけは女の子みたいに可愛いクラスメートがいた。



「なに?」

「帰るぞ」



口は悪いし、ズバズバ切りこんできて手厳しく、愛想もない。

人とあまりつるまないヒカリだけど、あたしとはなんでか行動を共にすることが多い。

いつからだったか、下校も一緒だし。



いつも通り頷こうとして、聞こえた名前に息を詰める。



「あ、ユキ。
今日はもう帰るの?」

「うん、待ち合わせしてて」

「わかった、彼女だろっ?」

「あはは。また明日」



楽しめよー、なんて手をぶんぶんと振る男子の声が頭に響く。



ユキと一緒になりたかった去年は違うクラスで、離れたかった今年は同じクラス。

……神様は、意地悪だ。



どう頑張ってもユキの声は聞こえてくるし、話さなきゃいけない時もある。

避けられない、逃げられない。

今さらこんな繋がりなんて欲しくなかったのに。






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