ユキの果て




***



2月13日。

今日は朝から校内がピンクに染まっていた。



14日に学校がないとなれば前日の今日があたしたちのバレンタイン本番。



ヒカリはロッカーにチョコを入れられないように鍵をかけていた。

その分、机の中に詰めこまれていたんだけど。



──そう、彼は結構モテるんだ。

わかりやすい優しさはないけど、やっぱりかっこいいしね。



直接渡そうと思えば、人の目があるし、なによりヒカリは一瞬たりともチョコをもらって嬉しそうな反応をしていないんだもん。

渡しにくいし、隙がない。



そうやってあわあわとしている内に、あっという間に終礼。

この後がラストチャンスだ。



緊張で気分が悪くなってくる。

こんなのっていつぶりだろう。



心臓の音がうるさくて、呼吸が浅くなって、痛い。

苦しい。






< 20 / 30 >

この作品をシェア

pagetop