ユキの果て
ぎゅうぎゅうと強く抱き締められる幸せ。
肩に顔を押しつける。
「ユキとの恋は、お別れ以外はあたしからだった。
だから、ヒカリが好きだと気づいて、また恋を始めることが怖かった」
突き詰めていけば、そんな呆れちゃうような理由。
どうしようもないね。
ストン、と地面に降ろされた。
そのまま慈しむように手を絡められて、ドキドキが収まることを知らない。
「お前なに言ってんの?」
「え?」
「俺からだろ。
4月に告ったこと、もしや忘れてる?」
言ってた、ね。
うん……うん、確かに。
まさかあれ、本気だったんだ。
というかあれから1度もそんなこと言わなかったのに、まだあたしのことが好きだったなんて思わないよ。
「ずっと、お前への気持ちは変わらない」
そう言って、ヒカリはとろけそうなほど優しい笑顔を浮かべた。