ユキの果て
「あ、ねぇ。
あたしたち同じクラスになるまで、接点なんてなかったと思うんだけど。
いつあたしのこと好きになったの?」
「……それ、訊く?」
「だって気になったから」
はぁ、とため息。
訊かない方がよかった?
「ユキと同じクラスだったから、ふたりが付き合ってるのは元々知ってた。
そうしたら、お前らの別れ話をたまたま駅前で見かけたんだ」
それはまた、間の悪い……。
そっか、あれを見られてたのか。
なんとも言えない心境になる。
「泣かずにユキを見送ったその後ろ姿に、俺は恋をしたんだ」
「っ!」
互いに恥ずかしくなって、目を逸らす。
鼻先までマフラーに隠すようにした時、そこには花屋さん。
「あ、スノードロップ」
そういえば、この花屋さんでスノードロップを見てから。
ユキのことを思い出して、苦しくなったんだっけ。
1ヶ月と少し前なだけなのに、なんだか懐かしいな。