ユキの果て




校舎を出て、並んで歩きながら思い出すのはあたしたちの出会い。






クラス替えが済んだばかりの4月。

日直の仕事で、あたしは放課後の教室にひとり残っていた。



黒板消しの仕事をしていると、後ろから突然名前を呼ばれて。

振り返れば、クラス替えで新しく同じクラスになった男子。



確かユキの後ろの席の人だったかな、と思い返していると、突然彼に言われた。






「俺と付き合って」






意味がわからないと思った。



だって、話したことの前に見たことすらほとんどなかった。

初対面と言っていいほど関わりのない人だったんだもん。



一目惚れなんてされるような顔じゃないし、悪い冗談だとすぐに断って。

なんて奴だと思ったけど、それをきっかけに話すようになった。



あれがなんだったのかは知らないけど、ユキと同じクラスだったらしく、いつも気を遣ってくれる。

だから、そばにいて1番気が楽だ。



今では仲のいい友だちなの。






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