ユキの果て
「あ、ヒカリー。
久しぶりじゃーん。
クラス離れたら全然喋れなくなったよねー」
駅に着いたところで、ヒカリが知り合いらしき人に声をかけられた。
会話の内容的に、どうやら元クラスメートみたい。
「うるさい。ヒカリって呼ぶな」
「もー、うるさいな。
じゃあ白雪?」
「いい加減にしろよ」
「はいはい、ユッキーね、ユッキー」
いつも通りの呼ばれ方になった途端、ヒカリは興味をなくしたようにスタスタと進む。
改札を通ってしまったから、あたしも慌てて後を追った。
「ユッキーまたねー!」
完全無視。
いいのかな、これ。
「ねぇ、ヒカリ」
「なに」
「……やっぱりいいや。なんでもない」
彼は、〝ヒカリ〟とも〝白雪〟とも呼ばれたくないらしい。
ユッキーが1番許せるんだって。
正直、これの方が恥ずかしいと思うんだけどね。
なのに、あたしはヒカリのまま。
色々なことを許されているあたし。
……いいのかな。