ユキの果て
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包丁の音。
くつくつと平たい鍋の中で泡が立つそばには色とりどりのカップ。
チョコレートの香りに包まれたここは調理室。
今年初めの調理実習中。
2月目前ということで、メニューはフォンダンショコラとメープルミルク。
メープルミルクは鍋で温めた牛乳にスプーンでメープルシロップを入れるだけ。
問題なのはそう、今あたしが薄力粉を振るい終わったフォンダンショコラ。
「よし」
「よし、じゃないよ⁈
結晶、こぼしすぎ!」
「え?」
「周り真っ白だよー!」
本当だ。
去年と引き続き同じクラスの委員長の水色のエプロンが粉をかぶって、色が変わっている。
「相変わらず、料理下手だね……」
「う。ご、ごめん」
1年生の頃はもちろん、2年生になってからも色々やらかしてるからなぁ。
いつまで経っても料理の腕は上がらない。
粉も砂糖もあたしが扱うには難しい。