銀狼の涙
ヴィアラたち一行が去って行った方を、ロランはじっと見ていた。

「―ロランさま・・・。」

銀色かがった金の髪をした女性が、彼の名を呼んだ。

「イザベル・・・。」

彼も人間の姿に戻って言った。

ロランもまた、プラチナ・ブロンドにガーネットを思わせる紅い瞳をした―美しい男だった。

「あの娘はヴィリアン国国王の娘―王女ですよ・・・?」

「分かっている。だが放っておけばいずれ黒狼(こくろう)が来るだろう・・・それだけだ、助けたのは。」

まだ疑うかのような視線を向けるイザベルに、

「―本当のことだ。」

と言った。

「―行くぞ。」

「はい・・・ロランさま。」

二人は森の奥に位置する城へ戻った。
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