銀狼の涙
*02・母の死*
「ヴィアラ様・・・!!」
城の中庭で花を摘んでいたヴィアラの元へ、一人の女中が来た。
「どうしたの、キーラ・・・?」
「王妃さまが・・・!!」
「お母様がどうしたの・・・!?」
「魔狼に噛まれて・・・!!」
「キーラ、すぐにわたしをお母様のところへ・・・!!」
ヴィアラは城の中へと急いだ。
***
「お父様・・・お母様・・・!!」
「―ヴィーリィ、ヴィアラだ。」
母・ヴィーリィはやつれていて、息をするのも苦しそうだった。
「ヴィアラ・・・わたしはもうじき死ぬわ・・・魔狼は強い毒を持っているもの・・・。」
「何をおっしゃるの、お母様・・・!!」
「―わたしが死んだ後、魔狼たちを責めないで・・・。」
「いや・・・生きて、お母様・・・!!」
「可愛いヴィアラ・・・強くい、きて・・・。」
エリーヌは目を閉じたまま、ぴくりとも動かなくなった。
「お母様・・・?」
どんなに揺すっても、母が目を開けるはずもなくて。
「いやっ・・・お母様・・・!!」
母の肩を何度も揺する。
「やめるのだ、ヴィアラ・・・。」
父王・エドウィンが彼女を抱きしめた。
「お父様・・・!!」
だが―泣きじゃくる娘を抱きしめる彼の瞳(め)にも、最愛の妻を喪った悲しみの涙が溢れていた。
『忘れないで・・・わたしはいつまでも、あなたとヴィアラの心の中で生きているのよ・・・。』
ヴィーリィの香りがふわり、と香り―
つかの間、見えた。
―・・・微笑む、彼女の姿が。
城の中庭で花を摘んでいたヴィアラの元へ、一人の女中が来た。
「どうしたの、キーラ・・・?」
「王妃さまが・・・!!」
「お母様がどうしたの・・・!?」
「魔狼に噛まれて・・・!!」
「キーラ、すぐにわたしをお母様のところへ・・・!!」
ヴィアラは城の中へと急いだ。
***
「お父様・・・お母様・・・!!」
「―ヴィーリィ、ヴィアラだ。」
母・ヴィーリィはやつれていて、息をするのも苦しそうだった。
「ヴィアラ・・・わたしはもうじき死ぬわ・・・魔狼は強い毒を持っているもの・・・。」
「何をおっしゃるの、お母様・・・!!」
「―わたしが死んだ後、魔狼たちを責めないで・・・。」
「いや・・・生きて、お母様・・・!!」
「可愛いヴィアラ・・・強くい、きて・・・。」
エリーヌは目を閉じたまま、ぴくりとも動かなくなった。
「お母様・・・?」
どんなに揺すっても、母が目を開けるはずもなくて。
「いやっ・・・お母様・・・!!」
母の肩を何度も揺する。
「やめるのだ、ヴィアラ・・・。」
父王・エドウィンが彼女を抱きしめた。
「お父様・・・!!」
だが―泣きじゃくる娘を抱きしめる彼の瞳(め)にも、最愛の妻を喪った悲しみの涙が溢れていた。
『忘れないで・・・わたしはいつまでも、あなたとヴィアラの心の中で生きているのよ・・・。』
ヴィーリィの香りがふわり、と香り―
つかの間、見えた。
―・・・微笑む、彼女の姿が。