銀狼の涙
*03・望まぬ結婚*
母・ヴィーリィが死んで十数年―・・・。
まだ幼かったヴィアラも二十歳になり、母と生き写しの美貌をもつ女性へと成長していた。
「ヴィアラ様・・・陛下がお呼びですわ。」
「お父様が・・・?」
「はい。すぐ来るようにと仰せです。」
「分かったわ・・・すぐに行くわね。」
ヴィアラは父・シリウスの部屋へ向かった。
***
「お呼びですか、お父様・・・。」
「―ヴィリアス子爵・・・娘のヴィアラだ。」
父とそこにいるその男は、漆黒の髪にエメラルドを思わせる緑の瞳をもっていた。
「初めまして・・・姫君。」
『ヴィリアス子爵』と呼ばれたその男は、ヴィアラの白い手を取り、口づけた。
「お父様、この方は・・・?」
手の甲にキスされながら―困惑したような表情(かお)で、父王に問いかけた。
「おまえの結婚相手だ。」
「え・・・?」
「お前も年頃だろう、いやだとは言うまい。」
「―分かったわ、お父様・・・。」
「そうか、結婚式は明日だ。準備をしたらいい。」
「ええ・・・。もう行くわね、お父様・・・。」
ヴィアラは私室へと向かった。
***
「ヴィアラ様・・・よかったのですか・・・?」
「ドレスを用意しないといけないわね・・・。」
「ヴィアラ様・・・!!」
「そうよ・・・わたしにとって、これは望まない結婚よ。」
「ではどうして・・・?」
「お父様はわたしの幸せを思って結婚を勧めているはずだもの・・・。」
「―仕立屋を呼んで、ディーナ。」
「はい、ヴィアラ様。」
***
仕立屋にウェディングドレスを注文し、その日は過ぎていった。
まだ幼かったヴィアラも二十歳になり、母と生き写しの美貌をもつ女性へと成長していた。
「ヴィアラ様・・・陛下がお呼びですわ。」
「お父様が・・・?」
「はい。すぐ来るようにと仰せです。」
「分かったわ・・・すぐに行くわね。」
ヴィアラは父・シリウスの部屋へ向かった。
***
「お呼びですか、お父様・・・。」
「―ヴィリアス子爵・・・娘のヴィアラだ。」
父とそこにいるその男は、漆黒の髪にエメラルドを思わせる緑の瞳をもっていた。
「初めまして・・・姫君。」
『ヴィリアス子爵』と呼ばれたその男は、ヴィアラの白い手を取り、口づけた。
「お父様、この方は・・・?」
手の甲にキスされながら―困惑したような表情(かお)で、父王に問いかけた。
「おまえの結婚相手だ。」
「え・・・?」
「お前も年頃だろう、いやだとは言うまい。」
「―分かったわ、お父様・・・。」
「そうか、結婚式は明日だ。準備をしたらいい。」
「ええ・・・。もう行くわね、お父様・・・。」
ヴィアラは私室へと向かった。
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「ヴィアラ様・・・よかったのですか・・・?」
「ドレスを用意しないといけないわね・・・。」
「ヴィアラ様・・・!!」
「そうよ・・・わたしにとって、これは望まない結婚よ。」
「ではどうして・・・?」
「お父様はわたしの幸せを思って結婚を勧めているはずだもの・・・。」
「―仕立屋を呼んで、ディーナ。」
「はい、ヴィアラ様。」
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仕立屋にウェディングドレスを注文し、その日は過ぎていった。