意地悪彼氏の攻略法。
釣り合ってないことくらい、あたしがいちばんよくわかってる。
何度も何度も言われ続けてきた言葉だけど、奏多の前で言わないでほしい。
何も言わずに平気なフリして付き合ってた自分が惨めに思えてくるから。
チクチク痛む胸に手を当てると、奏多の話す声が聞こえてくる。
どんな答えを返すんだろうと、自然とあたしの胸は高鳴っていた。
「別れろって言われても、無理だな。
アイツとは、とりあえず1年だけ付き合うことにしてるし」
「え~! そうだったの!? うわ、彼女さんかわいそー」
なに、それ……。
1年だけ付き合うって、何なのそれ。
何かで頭を殴られる、それくらいの衝撃で奏多の言葉はあたしの意識を支配する。
さっきまで痛かった胸の痛みは、鉛みたいに重さを増していた。
「お前やっぱ、根っからの遊び人だな~! 男の俺から見ても最低だぞ」
あたしと付き合ってたのも、単なる暇つぶしの遊び?
告白してOKしてくれたのも、全部うそ……?
あたしと過ごしてきた時間も、イジワルするのも笑ってる顔も全部……嘘だったなんて。