意地悪彼氏の攻略法。
もう耳には、みんなの声は届いてこなくて、そっと後ずさりすると、逃げるようにその場を走り去った。
最初から住む世界が違う人だってわかってたのに
辛い想いをするっていうのもわかってたのに
特別に想ってくれてるんだっていう心の支えがあったから、今まで頑張ってこられた。
でも、それが1年だけの付き合いで、全部うそだったなんて……!
やっぱり、あんなヤツ……好きになるんじゃなかった。
半年前のことを思い出し、窓ガラスに映る自分の姿を見つめた。
「もう環菜が何も言わないなら、このあたしが今日こそ文句言ってやる!」
腕まくりをして、今にも怒りが爆発しそうな瑞穂に、苦笑いを返す。
「ありがとう。あたしのために怒ってくれて。
でも、もう……終わりだから」
独り言を呟いたあたしに、瑞穂が不思議そうな顔をする。
あの日から、ずっと思ってきた。
付き合って1年を迎える今年のクリスマスに奏多を誘って、アイツが本当のことをバラす前にこっちから振って、この関係を終わらせるんだ。