意地悪彼氏の攻略法。


もう耳には、みんなの声は届いてこなくて、そっと後ずさりすると、逃げるようにその場を走り去った。


最初から住む世界が違う人だってわかってたのに


辛い想いをするっていうのもわかってたのに


特別に想ってくれてるんだっていう心の支えがあったから、今まで頑張ってこられた。


でも、それが1年だけの付き合いで、全部うそだったなんて……!


やっぱり、あんなヤツ……好きになるんじゃなかった。



半年前のことを思い出し、窓ガラスに映る自分の姿を見つめた。


「もう環菜が何も言わないなら、このあたしが今日こそ文句言ってやる!」


腕まくりをして、今にも怒りが爆発しそうな瑞穂に、苦笑いを返す。


「ありがとう。あたしのために怒ってくれて。

でも、もう……終わりだから」


独り言を呟いたあたしに、瑞穂が不思議そうな顔をする。


あの日から、ずっと思ってきた。


付き合って1年を迎える今年のクリスマスに奏多を誘って、アイツが本当のことをバラす前にこっちから振って、この関係を終わらせるんだ。


< 6 / 20 >

この作品をシェア

pagetop