意地悪彼氏の攻略法。


「クリスマス? 悪い。もう予定入ってる」


「……!」


予定入ってるって、クリスマスが何の日か覚えてないの……?


期限付きだとしても、あたしと奏多が付き合い始めてから、ちょうど1年になる日なのに。


「じゃあ、イブは?」


怒りや悔しさ、悲しみ、様々な感情を抑え込み、笑顔を絶やさないようにまた聞き返す。


本当はクリスマスにこの関係を終わらせる予定だったけど、1日くらい早くたってもうこの際どうでもいいよ。


クリスマスに予定が入ってる時点で、あたしのことなんてどうでもいいってことでしょ。


「あー、イブももう予定入ってんだわ。悪いな、今度埋め合わせするから」


言いづらそうにしながら、奏多の隣にいた可愛い女子の1人と目で会話するみたいに、一度だけ2人して目を合わせる。


何よ、それ。


イブもダメで、今度埋め合わせする?


そんな日なんて、もう永遠にやってこないこと、自分の方がよくわかってるくせに。


何も言えずに、奏多の目の前に立ったままでいたら、


「ちょっとぉ~、いくら予定があるとはいえ、一応カノジョなんだし、もう少し空気読みなって~」


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