水平線の彼方に(下)
Act.4 過去(まえ)と 現在(いま)と…
お兄ちゃん達が来て、一番困ったのは泊まる部屋だった。
「キラ、私と同じ部屋でお休み。一緒に寝よう」
当たり前のように二人を同じ部屋にしようとするテル伯母さんの言葉に反発した。
「ヤダ!二階がいい!一番涼しいもん‼︎ 」
完全に駄々っ子。でも、伯母さんも負けてない。
「言うこと聞けないんなら帰っておくれ!あそこは一応客間なんだよ!」
あくまでも私を邪魔者扱いする。それを見兼ねてお兄ちゃんが言った。
「伯母さんいいよ。オレ去年と同じ仲間ん家に泊まるから」
サーファーしてた頃の友人が、ここには沢山いるから心配ないと話す。
申し訳なそうな顔をして、伯母さんはそれを受け入れた。
「でも、花穂さんはウチに泊まっておくれよね。部屋はキラと一緒でいいかい?」
「はい。大丈夫です」
「ええーっ…」
迷惑そうな声と表情で抗議。すると、テル伯母さんに睨まれた。
「嫌なら家にお帰り。あんたはお客じゃないんだから」
突き放すような厳しい言い方。バイトに誘ったのはそっちなのに…。
「いいよ。同じ部屋で我慢する…」
渋々承諾した。
「我慢するのはあんたじゃない!花穂さんの方!」
ごめんねと謝ってる。ふて腐れる私に向いて、彼女は笑顔を見せた。
「綺良さん、よろしくお願いします」
大人らしい対応。ますますムカつく。
「こちらこそ」
ぶすっとしたまま答えた。一応、お兄ちゃんの手前だから。
家に入り、二階の部屋へ案内する。荷物を置いて窓に目を向けた彼女が、驚いたように近づいた。
「…これ、ガジュマル…?」
窓を開け、枝に手を伸ばす。
「そーよ!」
私にとっては当たり前のような光景も、本土の人には珍しいらしい。
「こんなに大きく育つんだ…スゴイね…」
感心してる。どうやらそんな事知ったのも今が初めてらしい。
窓を閉め、振り向いた。私の背中越しに目を向け、あれ…と小さな声を発した。
「それ…もしかしてお姉さん…?」
棚を指差す。チラッと振り返り、写真のことだと気づいた。
「うん…」
写真を見たまま答える。側に寄って来た彼女が、小さな声で囁いた。
「見せてもらっても…いい?」
緊張してるような顔。姉と対面するのはきっと初めて。
驚かしてやりたいような気持ちもあって、フレームに手を伸ばした。
「どーぞ!」
無造作に手渡す。
ビクつきながらも受け取った彼女は、マジマジと写真と私を見比べた。
「似てるね…綺良さんと…」
瞬きしてる。姉妹なんだから当たり前だっつーの。
「それにしても…」
プッ…と小さな笑い。
顔女の目が写真のお兄ちゃんに釘付けだった。
「カッコつけ過ぎ…」
何が面白いのか、妙にウケてる。彼女にしたらこの頃のお兄ちゃんは別人みたいなもんなのか…。
「ありがとう…」
ホッとしたように返される。
もっとガッカリするのを期待してたのに、そんなでもなく気落ちした。
「キラ、私と同じ部屋でお休み。一緒に寝よう」
当たり前のように二人を同じ部屋にしようとするテル伯母さんの言葉に反発した。
「ヤダ!二階がいい!一番涼しいもん‼︎ 」
完全に駄々っ子。でも、伯母さんも負けてない。
「言うこと聞けないんなら帰っておくれ!あそこは一応客間なんだよ!」
あくまでも私を邪魔者扱いする。それを見兼ねてお兄ちゃんが言った。
「伯母さんいいよ。オレ去年と同じ仲間ん家に泊まるから」
サーファーしてた頃の友人が、ここには沢山いるから心配ないと話す。
申し訳なそうな顔をして、伯母さんはそれを受け入れた。
「でも、花穂さんはウチに泊まっておくれよね。部屋はキラと一緒でいいかい?」
「はい。大丈夫です」
「ええーっ…」
迷惑そうな声と表情で抗議。すると、テル伯母さんに睨まれた。
「嫌なら家にお帰り。あんたはお客じゃないんだから」
突き放すような厳しい言い方。バイトに誘ったのはそっちなのに…。
「いいよ。同じ部屋で我慢する…」
渋々承諾した。
「我慢するのはあんたじゃない!花穂さんの方!」
ごめんねと謝ってる。ふて腐れる私に向いて、彼女は笑顔を見せた。
「綺良さん、よろしくお願いします」
大人らしい対応。ますますムカつく。
「こちらこそ」
ぶすっとしたまま答えた。一応、お兄ちゃんの手前だから。
家に入り、二階の部屋へ案内する。荷物を置いて窓に目を向けた彼女が、驚いたように近づいた。
「…これ、ガジュマル…?」
窓を開け、枝に手を伸ばす。
「そーよ!」
私にとっては当たり前のような光景も、本土の人には珍しいらしい。
「こんなに大きく育つんだ…スゴイね…」
感心してる。どうやらそんな事知ったのも今が初めてらしい。
窓を閉め、振り向いた。私の背中越しに目を向け、あれ…と小さな声を発した。
「それ…もしかしてお姉さん…?」
棚を指差す。チラッと振り返り、写真のことだと気づいた。
「うん…」
写真を見たまま答える。側に寄って来た彼女が、小さな声で囁いた。
「見せてもらっても…いい?」
緊張してるような顔。姉と対面するのはきっと初めて。
驚かしてやりたいような気持ちもあって、フレームに手を伸ばした。
「どーぞ!」
無造作に手渡す。
ビクつきながらも受け取った彼女は、マジマジと写真と私を見比べた。
「似てるね…綺良さんと…」
瞬きしてる。姉妹なんだから当たり前だっつーの。
「それにしても…」
プッ…と小さな笑い。
顔女の目が写真のお兄ちゃんに釘付けだった。
「カッコつけ過ぎ…」
何が面白いのか、妙にウケてる。彼女にしたらこの頃のお兄ちゃんは別人みたいなもんなのか…。
「ありがとう…」
ホッとしたように返される。
もっとガッカリするのを期待してたのに、そんなでもなく気落ちした。