水平線の彼方に(下)
翌日の早朝、二人は私と一緒に働いた。いつもの倍の人数でやると仕事は早い。予定していた午前中の仕事は、朝ご飯前に全て片付いた。
「さすがに四人いると早いね…」
汗を拭きながら、伯母さんはやれやれと肩を叩いた。
「伯母さん、オレら海に行って来るから」
お兄ちゃんの言葉にピクッとなった。
「私も!」
急いで側に寄る。
「私も行くっ!連れてって!」
お願いする。なのにやっぱり止められた。
「キラ、二人の邪魔をするんじゃないよ!」
厳しい言い方。ぶーたれて頬を膨らませると、お兄ちゃんが助けてくれた。
「伯母さんいいよ」
優しい声に振り向く。ポンポンと頭を軽く撫でられた。
「綺良ちゃんも一緒に行こう」
いいよなっ?と彼女を振り返る。昨夜、散々な態度をとったからヒヤヒヤしてたけど、あっさり承諾してくれた。
「うん、いいよ」
にっこり笑ってる。
「やったー!お兄ちゃんサンキュー!」
ついでに彼女にもちょこっと一礼。人の良さに付け入って…っと、伯母さんは呆れ返って呟いた。
「二人とも、この子のワガママ聞かなくていいからね。なんでも許すと、すぐつけ上がるから!」
忠告してる。私が何したって言うのよ。
「キラ、迷惑かけないんだよ!余計なことしちゃ駄目だよ!」
車に乗り込むまで伯母さんの小言が続く。
「はいはい、分かってます!」
二度返事。うるさい所はママそっくりだ。
助手席を彼女に空け渡し、いざ発進!
通りの大きな道に出ると、ビーチまでは真っ直ぐ。
目の前に海が広がって行く。そんな光景を見たことのない彼女が、大きな声を上げた。
「きれ〜っ!」
一人で感動してる。ホントに単純で羨ましい。
ビーチの駐車場に着くと、一目散に海へ行こうとする。それをくい止めるように、お兄ちゃんが慌てて声をかけた。
「花穂!」
声に振り向き微笑んだ。その顔が、眩しいくらいに綺麗だった。
寄り添うように、お兄ちゃんが側へ行く。恋人なら当たり前のような行動が、私には許せなかった…。
(お兄ちゃん…お姉ちゃんを忘れないで!)
とっさに取った行動は浅はかだった。
でもこの時は、それしかできなかった…。
「泳いで来る!」
ビーチに向かって走り出す。砂浜の上でサンダルを脱ぎ捨て、ザブザブと水の中に入っていく。腿辺りの深さで来て、泳ごうと身を沈めた時…
ガシッ‼︎
すごい力で止められた。
振り向くと、お兄ちゃんが側に立ってた…。
真っ青な顔で目を見開いて、
どこか怯えるような眼差しをして……。
「さすがに四人いると早いね…」
汗を拭きながら、伯母さんはやれやれと肩を叩いた。
「伯母さん、オレら海に行って来るから」
お兄ちゃんの言葉にピクッとなった。
「私も!」
急いで側に寄る。
「私も行くっ!連れてって!」
お願いする。なのにやっぱり止められた。
「キラ、二人の邪魔をするんじゃないよ!」
厳しい言い方。ぶーたれて頬を膨らませると、お兄ちゃんが助けてくれた。
「伯母さんいいよ」
優しい声に振り向く。ポンポンと頭を軽く撫でられた。
「綺良ちゃんも一緒に行こう」
いいよなっ?と彼女を振り返る。昨夜、散々な態度をとったからヒヤヒヤしてたけど、あっさり承諾してくれた。
「うん、いいよ」
にっこり笑ってる。
「やったー!お兄ちゃんサンキュー!」
ついでに彼女にもちょこっと一礼。人の良さに付け入って…っと、伯母さんは呆れ返って呟いた。
「二人とも、この子のワガママ聞かなくていいからね。なんでも許すと、すぐつけ上がるから!」
忠告してる。私が何したって言うのよ。
「キラ、迷惑かけないんだよ!余計なことしちゃ駄目だよ!」
車に乗り込むまで伯母さんの小言が続く。
「はいはい、分かってます!」
二度返事。うるさい所はママそっくりだ。
助手席を彼女に空け渡し、いざ発進!
通りの大きな道に出ると、ビーチまでは真っ直ぐ。
目の前に海が広がって行く。そんな光景を見たことのない彼女が、大きな声を上げた。
「きれ〜っ!」
一人で感動してる。ホントに単純で羨ましい。
ビーチの駐車場に着くと、一目散に海へ行こうとする。それをくい止めるように、お兄ちゃんが慌てて声をかけた。
「花穂!」
声に振り向き微笑んだ。その顔が、眩しいくらいに綺麗だった。
寄り添うように、お兄ちゃんが側へ行く。恋人なら当たり前のような行動が、私には許せなかった…。
(お兄ちゃん…お姉ちゃんを忘れないで!)
とっさに取った行動は浅はかだった。
でもこの時は、それしかできなかった…。
「泳いで来る!」
ビーチに向かって走り出す。砂浜の上でサンダルを脱ぎ捨て、ザブザブと水の中に入っていく。腿辺りの深さで来て、泳ごうと身を沈めた時…
ガシッ‼︎
すごい力で止められた。
振り向くと、お兄ちゃんが側に立ってた…。
真っ青な顔で目を見開いて、
どこか怯えるような眼差しをして……。