水平線の彼方に(下)
(だからって、切ると決めたからには切らないと…)

翌日、美容院の前で決意を新たにしてた。
昨日はジョーリにああ言われて、なんだか切るのが惜しくなってしまったけど、さすがにやっぱりどうにかしたい。
ある意味、決別したい。

(お兄ちゃんからもお姉ちゃんからも…)

過去からの脱却。…なんて、そこまでカッコ良くもないけど。

カラン♪
美容院の扉開けた。
今日から自分を新しくやり直す!




二時間後ーーー

「ありがとうございました!」

イケメンの美容師さんに送られて店を出る。
サラサラ…風になびく髪。

「フフン♫ これ好き」

ウインドに映る自分をチェック。実はショートにするのはやめて、ストレートにしてみた。


「……似合うと思いますよ」

イケメン美容師のオススメもあってショートはやめた。

「巻いたり延ばしたり…忙しい思いさせるね…」

髪を撫で撫で。この夏だけだから…と気持ちを込める。

自分を写メる。記念撮影。

「うん!いい感じ!」

やっと自分が戻ってきた気がする。

「さて、今日はこれから何しようかな…」

お金は二度のパーマで痛い目見たし、普通に友達誘ってカラオケとか…?

(ジョーリはどうする⁈ )

昨日の今日で会いづらい。そもそも友達の枠を破ったのはあっちだし…。

(せっかくの休みなのにヤダな…遊びにくいなんて…)

ジョーリのこと嫌いでもないけど、恋の相手として思ったこともない。
なのに、なんで今更告る…。

(仲のいい友達だけじゃいけなかったのかな…)

遊び仲間、大事なクラスメート…。それだけでも十分価値ある存在だったのに…。

同級生…。

大人の二人が頭に浮かぶ。
あの人達はこの関係から、どうして違う関係を選んだんだろう。

私はこれから…どう接すればいいんだろう…ジョーリと…。

両手でストレートヘアを引っ張る。
指に絡まない髪は、サラサラとほどけて流れていく。
その様子を、ガラス越しに見てた。

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