水平線の彼方に(下)
「……キラリ?」

「ん…?」

振り返りギョッとする。

「ジ…ジョーリ…」

昨日に引き続きこの偶然…。勘弁してよ。

「おまっ…何だ、その髪…」

呆れたように指さす。
昨日似合うと言ったのに…と、嫌味のように取られたかもしれない。

「いや、あの…これは…」

切ろうとしたらストレートを勧められただけ…。
そう答えようとした。

「そっちの方が似合うよ、お前」
「へっ…⁈ 」

ニカッと笑われた。

「ウエーブも良かったけど、そっちの方がキラリらしい」

俺は好き…は今日はなし。

「そ…そう⁈ 実は私もいいかなと思ってたの…」

だからわざわざ写メ撮ってたんだと言い訳。

「自分で自分の写メ撮ったのかよ。バカな奴、見せてみろ」
「あっ…!」

スマホ取り上げられた。

「…へぇー、まあいいじゃん!」

ちょっぴり照れる。ジョーリに言われたから…っていうのも少しある。

「あっ、でも記念撮影なら一緒に撮ろうぜ!」
「えっ⁈ 」

寄って来た。

カシャ♪
シャッター音。

「ほら、いい感じじゃん!」

見せてくれる。
寄り添った顔の二人。ホントになんかいい感じ。

「何すんのよ!人のスマホで遊ばないで!」

とか言いつつ保存。消去するのも惜しいから。

「どっか行くとこだったんじゃないの⁈ 」

背中のリュック、見ながら聞いた。

「あっ…そうだ!皆で宿題片そうって話になって図書館行く途中だった。やばっ…」
「宿題⁈ そー言えば私もやってない!」

苦手な英語に数学…山のように出てたんだった。

「お前も来るか?分かんないとこ教えてやるぞ」
「ホント⁈ 行く行く!ぜひお願い!」

単純に乗った。さっきまでの悩み、何だったんだ。

「じゃあ荷物持って来いよ。中央図書館な」
「OK!皆によろしく!」
「ああ、じゃあまた後で!」

漕ぎ出すチャリ目で追う。
ジョーリと以前のような友達関係に戻れたみたい。
ホッと一安心。

(私達、やっぱこの関係の方がしっくりする…)

勝手に決めつけてた。

少なくともこの時は、それが一番居心地いい関係だと思ってたーーー。
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