水平線の彼方に(下)
翌朝、いつものように早朝のバイトをこなし、朝ご飯を食べてからお兄ちゃんを見送りに行った。

「花穂さんに宜しくね。また来ておくれよ」

お兄ちゃんを息子のように抱く伯母さんの姿があった。

「ありがとう…また来るよ。伯母さんも体に気をつけて」
「仕事、頑張りなね!」
「はいっ!伯母さんに負けないよう頑張ります!」

シャキッと背筋を伸ばして答えた。
これから地元に帰って、花穂さんになんと言って申し込むのか…。

「綺良ちゃん…」

振り向いた顔が微笑んだ。
優しい顔は、これまでのお兄ちゃんとは違う気がした…。

「また会おうな。今度は彼氏も一緒にな」
「エエッ⁉︎ そんなのいつできるか分からないよ⁉︎ 」

私の言葉に笑う。
お兄ちゃんはその笑顔のまま、遠い本州の空へ帰って行ったーーー。
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