水平線の彼方に(下)
「じゃあまた明日ね!」
「グッバイ皆!」
「遅刻すんなよ!」

宿題片付けて散らばる。
図書館の駐輪場に向かうのは私とジョーリの二人だけ。

し…ん。話す事ないのかってくらい静かな状況。これまではそんな事、一度だってなかったのに…。

「あ…あのさぁ…め、芽里と付き合ってるんだって⁈ 」

よりによってこの話題から始めなくても良かったか。

「あ?…ああ、まぁな…」

仕方なく認めたって感じ。触れちゃマズかった⁈

「す…スゴイね。芽里みたいな才女が彼女なんて…。で、でもジョーリも理系優秀だからお似合いだね。二人…」

私みたいなおバカじゃない。話の合う相手が一番だ。付き合うなら。

「…どっちから告ったの?ジョーリ?」

聞かなくていいこと聞くのがこの夏一番の悪い癖。途端にジョーリの顔が固まった。

「…どっちだっていいだろ。そんなの…」

不機嫌になる。

「そ…そうだよね…ごめん…」

振り出しに戻った。始まる沈黙。でも、幸いなことに駐輪場に着いた。

「じゃあな」
「うん、明日ね」

素っ気なく別れる。これまでならコンビニでも行こうか…って話になるけどそれも無し。

完全にただの友人関係。
最初から望んでた形はこれ。後悔はしてないけど…。


(寂しい…?)

自分の胸の内に話しかける。これまでのように馴れ馴れしくできない。
だってもう、彼女がいるもん。ジョーリには…。

(つまんない。親友が一人減ったみたいな気分…)

ションボリしながらチャリ漕いで帰った。
長い長い二学期が始まる。
休み中抱えてた悩みから解放されて、確かに嬉しいはずなのに、ちっとも気持ちが弾まない。
変な私…。ホントに子供と同じだ…。
< 37 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop