水平線の彼方に(下)
お昼はルゥちゃん達と食べた。
高校の体育祭となると、親は殆どやって来ない。特に今年は一日延期されたせいで平日開催。だから余計に少なかった。

「もうすぐカウントダウンだね〜」

ルゥちゃんが緊張してる。
予想屋として、予定通りにスターが誕生してくれることを願ってるんだ。

「さっきのリレーみたいに、誰も転ばなきゃいいけど」
「ホントホント。転んだら泥まみれになるもん…」
「あっ、でも私、泥まみれのジョーリ君見たいかも!」
「戦闘モードでカッコいい…みたいな⁈ 」

きゃあきゃあ言って盛り上がる。
走る選手がどれだけ緊張するかを知りもしないで。

昼休憩が済んでテントに移動。午後は騎馬戦や綱引きといった団体競技が目白押し。
それを見ながら、スター候補を変えていく。

「…あっ!ジョーリ君達の騎馬、先輩達に囲まれてるよ!」

一体三。形勢不利だ。
それでも上に乗ってるジョーリは負けてない。近付いて来る先輩の騎馬に自分から立ち向かってく。
いつもの負けず嫌いで、真っ正面から。

「あっ‼︎ 」

ガタンッ‼︎
椅子から立ち上がった。
後ろから引っ張られるような格好でジョーリが落ちた。
すぐに起き上がったけど、どこか変…。

(腕…?頭…?腰…?)

絶対どこか打ってる。そんな落ち方だった。

「今の先輩達ひど過ぎない⁈ 」
「ジョーリ君大丈夫かな…」

女子達が騒ぐ。
でも、何事もないようにジョーリはスターラインに帰ってく。
その姿に小さな拍手が起きてた。

(どこも怪我なし?ならいいけど…)

外見を遠くから見ただけじゃ分からない。その後の二回戦目も、ジョーリは普通に動いてたから。

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