水平線の彼方に(下)
張り切って階段を下りた。
早朝の仕事を終えて朝ご飯を食べてる最中に、テル伯母さんは思いがけないことを口走った。
「キラ、あんたしばらく家に帰りなよ」
「えっ!なんで⁉︎ 」
ショック。いきなりどうしてそんな事いうのか分からない。
「今日から真ちゃん来るし、あんたが居たら泊まる部屋ないから」
パクパク食べながら話す。伯母さんのいつもの癖だ。
「ヤダよぉ…せっかく仕事にも早起きにも慣れてきたのにぃ…」
(それにお兄ちゃんが来るから、余計でもここに居たいのに…)
気持ちを知ってか知らずか、伯母さんの顔が曇る。そんな顔されても帰らないからね。
「……仕方ない。後悔しても知らないよ」
諦めてご飯を食べ続ける。その捨て台詞が、妙に引っ掛かった。
(何だって言うのよ…)
唐突な言葉の意味は、空港で判明した。
「は、初めまして…岩月花穂です…」
緊張気味に名乗った。出口のゲートをくぐるや否や、お兄ちゃんは彼女だと言って紹介した。
ストレートのロングヘアに色白な肌。チュニックブラウスを着てドロップパンツを穿いてる人を、私は唖然として見つめた。
「初めまして。島崎テルです。こっちは姪の島本綺良(しまもと きら)」
伯母さんは名乗り、私を紹介した。
赤い顔をして頭を下げた女性の視線がこっちを向くと、お兄ちゃんがさらりと告げた。
「萌の妹だよ」
驚いてお兄ちゃんを見る。そして私を振り返った。
「は、初めまして…綺良さん…」
もじもじしながら言葉少なく挨拶した。
後から聞いた話では、すごい上がり症だということだった。
「綺良ちゃん、その髪型似合うよ」
神妙な顔してお兄ちゃんが言う。最初見た時、少しギョッとしてた。
「エヘヘ!お姉ちゃんみたいでしょ⁈ 」
おどけて見せた。なのに笑いもせず頷く。それを見て伯母さんが口出しした。
「この子ったら、休みの間だけパーマかけさせてくれって、ワガママ言ったらしいんだよ。呆れるだろ?…似合いもしないのにさ」
ネタばらし。お兄ちゃんが笑った。
プクッ…と頬を膨らます。せっかくお姉ちゃんに似てるとこアピールしたかったのに、これじゃ単なるピエロじゃん。
三人の後について駐車場まで来た。
運転するテル伯母さんの横に座るよう言われたけど駄々をこねる。
「ヤダ。お兄ちゃんと座る!」
伯母さんは呆れ顔。そしたら彼女が気を利かした。
「私、助手席でいいですか?」
ドアを指差す。いつも車を運転するから後ろより前がいいらしい。
「気を遣わせてごめんね〜」
伯母さんが謝ってる。本人がそっちがいいって言ったのに。
「いえ、そんなこと…」
顔まだ赤い。どんだけ緊張してんの。
早朝の仕事を終えて朝ご飯を食べてる最中に、テル伯母さんは思いがけないことを口走った。
「キラ、あんたしばらく家に帰りなよ」
「えっ!なんで⁉︎ 」
ショック。いきなりどうしてそんな事いうのか分からない。
「今日から真ちゃん来るし、あんたが居たら泊まる部屋ないから」
パクパク食べながら話す。伯母さんのいつもの癖だ。
「ヤダよぉ…せっかく仕事にも早起きにも慣れてきたのにぃ…」
(それにお兄ちゃんが来るから、余計でもここに居たいのに…)
気持ちを知ってか知らずか、伯母さんの顔が曇る。そんな顔されても帰らないからね。
「……仕方ない。後悔しても知らないよ」
諦めてご飯を食べ続ける。その捨て台詞が、妙に引っ掛かった。
(何だって言うのよ…)
唐突な言葉の意味は、空港で判明した。
「は、初めまして…岩月花穂です…」
緊張気味に名乗った。出口のゲートをくぐるや否や、お兄ちゃんは彼女だと言って紹介した。
ストレートのロングヘアに色白な肌。チュニックブラウスを着てドロップパンツを穿いてる人を、私は唖然として見つめた。
「初めまして。島崎テルです。こっちは姪の島本綺良(しまもと きら)」
伯母さんは名乗り、私を紹介した。
赤い顔をして頭を下げた女性の視線がこっちを向くと、お兄ちゃんがさらりと告げた。
「萌の妹だよ」
驚いてお兄ちゃんを見る。そして私を振り返った。
「は、初めまして…綺良さん…」
もじもじしながら言葉少なく挨拶した。
後から聞いた話では、すごい上がり症だということだった。
「綺良ちゃん、その髪型似合うよ」
神妙な顔してお兄ちゃんが言う。最初見た時、少しギョッとしてた。
「エヘヘ!お姉ちゃんみたいでしょ⁈ 」
おどけて見せた。なのに笑いもせず頷く。それを見て伯母さんが口出しした。
「この子ったら、休みの間だけパーマかけさせてくれって、ワガママ言ったらしいんだよ。呆れるだろ?…似合いもしないのにさ」
ネタばらし。お兄ちゃんが笑った。
プクッ…と頬を膨らます。せっかくお姉ちゃんに似てるとこアピールしたかったのに、これじゃ単なるピエロじゃん。
三人の後について駐車場まで来た。
運転するテル伯母さんの横に座るよう言われたけど駄々をこねる。
「ヤダ。お兄ちゃんと座る!」
伯母さんは呆れ顔。そしたら彼女が気を利かした。
「私、助手席でいいですか?」
ドアを指差す。いつも車を運転するから後ろより前がいいらしい。
「気を遣わせてごめんね〜」
伯母さんが謝ってる。本人がそっちがいいって言ったのに。
「いえ、そんなこと…」
顔まだ赤い。どんだけ緊張してんの。