透明な君へ
プロローグ
僕は君にとって、残酷な存在でしかなかったんだ。
君の名前
君の想い
君の過去
君の言葉
君の 涙
君の 生きた証
その全てが僕だけのもので、僕しか知らない。
その全てを知ったうえで、その全てを手に入れたうえで、僕は、自らに与えられた使命を全うしなければならない。
――君の存在を消す事。
君は、僕が君の存在に気付いてしまったが為に、僕に出逢ってしまったが為に、
その存在を無くす事になる。
だから、涙を流す権利なんて僕には無いんだ。
傷つく権利も。
でも1つだけ……1つだけ約束させてほしい。
今はこんなかたちでしか、君への愛を誓えないけれど…。
僕は
必ず
君の事を――。