透明な君へ
これで何回目だよ……。
昨日当直だった僕は、今やっと帰宅したところである。
ふと時計を見ると、午前10時を過ぎたところで、おやつの時間だなぁ〜なんて子供みたいな事を考えながら眼鏡を外した。
太陽の光が眩しくて眩しくて、すぐにでもベッドに潜り込んでしまいたいのをぐっと堪えて、携帯に手をのばす。
電話の相手が相手なだけに、放っておけば何度でもかけてくるだろうし、しまいには部屋にまで乗り込んで来かねない。
何の用かは検討がついてるが……。
ふぅっとため息をつくと、上着を脱いでベッドに腰掛けた。ネクタイを緩めながら、のそのそと携帯を開く。
そこでもう1度ため息。
「……もしもし」