透明な君へ
『あ!もしもしー!?俺、崇ですけど!先輩、何で全然出てくれなかったんですかぁ〜』
「あぁ、当直だったんだよ。ごめんな」
何で僕が謝ってんだ……?
『そうだったんですか!やっぱ医者って大変っすね!』
分かってるなら何度も立て続けに電話してくるのはやめてくれ。それに、今時携帯にはメールという機能もあるわけだし……。
「まぁな。今、患者を1人受け持ってるからさ。けっこう大変なんだ」
さり気なく布石を打っておく。
『へぇ〜!大変そうっすね!?でも先輩なら大丈夫ですよ! なんたって……先輩だし!』
なんだそりゃ。
『ところで、当直だったって事は今日は休みっすよね?』
「……あぁ…まぁ…」
時々鋭いよな、こいつ。
『じゃあ、今夜合コンいきましょうよ!』