透明な君へ


『それはメンバーです!必ず必要な人材ってのがあるんですよ!まず、“こいつよりは絶対俺のほうが勝ってるな”って奴。まぁ当然ですけどね。それともう1人欠かせないのが、超イケメン!これで、メンバーを集めた俺の株は急上昇間違いなし!』

「へぇ……」


イケメンて死語じゃ……?

「それが必勝法?」

『はい!』

「で、その必勝法と僕と何か関係あんの?」


眠くなってきたんですけど……。


『だぁかぁらぁ!大ありですってば!イケメンていう人材は、先輩しかいません!』

「へ?」

『“へ?”じゃないっすよ!先輩、まさか26にもなって自分がめちゃめちゃ格好いいって、知らなかったとは言わせませんよ』

「……言いすぎだよ」


過剰表現だ。


『いーえ!先輩はダントツです!もうこれ以上言わせないで下さい。自分が可哀想になってきますから。そのうえ医者だなんて……下手なモデルなんかよりモテますよ!』

「別に言わせてるつもりは……」

『とにかく、今日はぜっっったい来て下さいよ!俺、今日の合コンに賭けてるんで!!』



いったい何を賭けているのか、わけの分からない決意表明の後、時間と場所を2回繰り返して告げると、崇はやっと電話を切った。


とはいえ、電話が切れた時には既に、僕は夢の中へと猛烈な勢いで足を踏み入れていたのだけど。



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