透明な君へ
†―――――――



きらきらと空からこぼれ落ちる陽光を追い掛けるように、ひらひらと桜の花びらが舞い落ちる。その追い掛けっこに思わず目を奪われて、僕は窓の方へと歩み寄った。



 追い掛けて、
 追い掛けて。



少し身を乗り出して下を覗き込むと、地面いっぱいに敷き詰められた花びらが見えた。その花びらの下にあるのは、光を失った影だろ?



追い掛けなければ、
光は光のままだったのに――。



そしてその光を遮るように目を閉じた僕は、そっと呟いた。


「時音……。」



僕は今

春の音を

聞いてるよ――。



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