透明な君へ
「かくれんぼ…か……」
それなら今日のこのどんよりとした空を、“太陽のかくれんぼ”だと思った自分は、今一体どんな心境だというんだろう……と、ぼんやり考えてみる。
とそこで、白衣の胸ポケットに入れてある携帯電話がぶるぶると震え出した。
休憩時間終了5分前。
休憩に入る前に自分で設定しておいたアラームだ。
そのアラームを止めると、ふぅっと短く息を吐きながらすっとベンチから立ち上がった。
「……戻るか」
そう言って屋上を後にした僕の目は、おそらくかくれんぼ中の太陽に代わって、きらきらと眩しい程の輝きを放っていた事だろう。