君の世界
「…と…おと…直人!」
誰かが呼んでいる?
子供の頃に刺青の男の人と母さんと僕の三人で過した、ほんの少しだけあった幸せな日々の夢
覚めたくなかったのに…
「…ゅきお?」
泣き腫らした目の幸雄と後ろに立つ響
よく似た違う病室で僕は真中の病院に転院したことを知る。
「気付いたか?」
穏やかな響の声に安心する。
「直人お前死ぬとこだったんだそぉ~ばかやろぉ~咳して息苦しいなら言えよ!俺のこと信用出来ないのかよ?」
泣きながら怒って幸雄が怒鳴る。
「…きぉは…だ…ら…」
囁きにすらならない言葉
「話さなくていいから…」
響が幸雄を下がらす。