小悪魔的な彼と悲観的な彼女
「…あの時私達初めて会ったんだよ?そんな訳ないよ」
「でもそうなんだから仕方ないよね」
「でも、」
「運命だね」
ーーサラリと告げられた、もう一つの現実味なんてこれっぽっちもない言葉。
「運命だったんだよ、きっと」
そんな事を微笑みを崩さず、冗談とも思えない強い視線を向けて、甘ったるくも感じさせる声に乗せて彼はーー私の心に、訴えかける。
運命だなんて、そんな言葉。
近づいたように感じていた彼との距離なのに、そんな言葉一つで全ては幻と化したような気がした。
そうなると今私は何処にいるんだろう、だなんて。足場が無くてフワフワするような感覚に一瞬にして陥る。
必死に伸ばした私の手を掴むのは君。だけどそれもまた、もしかしたらーー
「でも、僕の想いは本物だ」