小悪魔的な彼と悲観的な彼女


そう柔らかく微笑みながら言う拓也君を見て、あぁ、なんだ。ヤキモチかな、なんてただの私の勘違いかと、私は思い改める事に。そりゃあそうだよね、一応若くたって拓也君も大人な訳だし、だとしても結局相手は女だった訳だし。

しかも私の大事な友達だから早めに顔合わせたいなんて、なんかすごく嬉しい!…と、その一部始終を琴乃に伝えると、琴乃から返って来たのは、


「やっぱりあたしを制しに来たか。受けて立つって言っといて」


…なんていう、どこか物騒な雰囲気漂う言伝。


……なんで?



ーー
ーーー



「遅い。30分遅刻」

「すみません、仕事が長引いてしまって」

「あたしの壁は高いから。言っとくけどすみれの事は譲れないよ」

「そうですか、それは困ったなぁ」


…あぁ、怖い。なんか怖い!

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