小悪魔的な彼と悲観的な彼女
私の知らない所で何かがバチバチと火花を散らせてるって事が今、確定した。
確定してしまった。
「で、琴乃さんは次何飲まれます?」
「まだ生でしょ…って、あたしの名前知ってんだ」
「もちろんですよ、すみれさんの大事なお友達だって聞いてますから」
「へぇ。それはもう色々リサーチ済みだと、そういう事かな?」
「いやぁ、そんな事無いですよ。でも琴乃さんは大事なお友達ですからね、すみれさんの」
「お〜押すねぇ、そこ」
こ、怖い怖い怖い!
可笑しい!一体今何がここで起こってるっていうんだ!
ニコニコと微笑みながら対応する拓也君と、完全に臨戦態勢を崩さない琴乃に…うん、悪い予感しかしない。
今すぐここを離れたい気持ちで一杯の私の事を知ってか知らずか、図ったようなタイミングで「すみれさんは何飲む?」なんて聞いてくる拓也君の笑顔が、あぁ…胡散臭く感じてしまうのは私の心が濁ってるからなのかな。
火花が飛び火する前に、なんて企んでた私の悪い心がいけないんだな、きっと。
「私はまだ、いいや」
大人しく諦めます、はい。だから次行きましょう、はい。